知多蒸溜所に行ってきました。(前編)
2015年にサントリーから登場したシングルグレーンウイスキー「知多」。その故郷を訪ねて、愛知県・知多半島のサントリー知多蒸溜所へ。特別に案内していただいた一日を、そのままお届けします。
2015年9月にサントリーより発売されたグレーンウィスキー、その名も「知多」。

11年ぶりの新ブランドとなるウィスキーです。グレーン100%のウィスキーは珍しく、サントリーも初の商品化でした。
知れば知るほど奥深い魅力を感じる「知多」。その魅力を皆さんにお伝えできるよう、まずは私たちがしっかりと勉強しなければなりません!!
という訳で、愛知県知多半島にあるサントリー知多蒸溜所へ行ってきました!

01いざ、知多蒸溜所へ
新幹線から、チャーターしていただいたバスへと乗り継ぎ、いざ目的地へ! でも知多蒸溜所ってどんなところだろう? お店に知多が入荷したとき、蒸溜所のイメージがピンとこず、山崎・白州蒸溜所に似ているのかなぁ…と思っていました。
ところが、予定到着時間が近づくにつれ、なんと工業地帯に突入。こんなところに蒸溜所があるの?と少し不安に…。まさかね、と思ったところでバス停車。おやおや!?なんかちがうよ!
到着した場所はまさに工業地帯。

こりゃ運転手さんやらかした、間違えたわ。まあ、こんなこともありますよ(笑)
それでもバスから降ろされる私たち。すると、外に出た瞬間から、何とも香ばしい香りがドーンと体中に入ってきました。その香りはまさしくとうもろこし! ポップコーンの香りと言えば、わかりやすいと思います。さっきまでの不安が吹き飛び、ワクワクの期待感!
そして正面に見えるのは「知多蒸溜所」の5文字。

間違いなく知多蒸溜所です! 運転手さんごめんなさい…。こちらの蒸溜所は一般見学を一切受け付けていないそうですが、今回は私たち住田屋のために、特別に特別に案内していただけることとなりました。

02知多蒸溜所って、どんなところ?
知多の魅力をお伝えする前に、ちょっぴり蒸溜所情報を。知多蒸溜所は1972年、愛知県知多に設立されました。山崎蒸溜所(大阪・1923年設立)、白州蒸溜所(山梨・1973年設立)がモルトウィスキーを造るのに対し、ここ知多蒸溜所はとうもろこしや穀物を原料とするグレーンウィスキーを製造しています(白州も少量ながらグレーンを製造)。
ここで製造されたグレーンウィスキーは、サントリーの主力商品である響、角瓶などにブレンドされています。今回、知多蒸溜所を案内してくださるのが、こちらの野村さん。

清楚で美しく、凛とした雰囲気をお持ちの方です。ピョン吉が胸キュンしてました。
知多蒸溜所の特徴の一つは、蒸溜器。グレーンウィスキーを造るためには、連続式蒸溜器を使います。ここで、連続式蒸溜器と単式蒸溜器について、少しだけ整理しておきますね。

連続式蒸溜器
モロミ塔の塔頂からモロミを送り込み、同時に下部から蒸気を送ります。加熱されたモロミ中の揮発性成分が取り出され、冷却されて溜出液に。原料の個性に合わせて非常に高濃度(94度)まで蒸溜するため香味成分が少なく、くせがありません。口当たりをなめらかにし、モルトの強い個性をやわらげます。
単式蒸溜器
蒸溜原液(モロミ)を入れて加熱蒸発させる「釜」、蒸気を凝縮させる「冷却機」、この二つをつなぐ「ラインアーム」の三つから成る、最も単純な蒸溜方法。日本・スコットランドのモルトウイスキー、アイルランドのウイスキーに使われます。

知多蒸溜所の連続式蒸溜器は、3タイプのグレーンウィスキーが造れる複数タイプ。これがなんと、世界でサントリーだけの、非常に稀な連続式蒸溜器なんです。
03そもそもグレーンウイスキーって?
そもそもグレーンウィスキーって、何だかご存知ですか? 私は知識不足で、ちんぷんかんぷんだったのですが、野村さんがとても分かりやすく教えてくださいました。
今まではモルトの脇役のように思っていたグレーンですが、これを聞いたときは、実は味の決め手となる存在なんだ!と気づかされました。
ありがとう野村さん、ありがとうサントリーの皆さん、ありがとう知多蒸溜所!! こんな重要な役割を果たしている知多蒸溜所が、ますます知りたくなりますよね!
04世界でひとつだけの連続式蒸溜器
では、知多蒸溜所のグレーンウィスキーがどのように造りだされているか。サントリーが誇る、世界でも稀な複数タイプの連続式蒸溜器! の模型を見ながら、説明を聞きました。

ここ知多で造られるウイスキーの原料は、とうもろこしと、発酵の際に使われる麦芽のみ。まず、このとうもろこしを蒸煮して少量の麦芽を加え、糖化します。すると、アルコールゼロのとうもろこしスープの出来上がり。これに酵母を加えて、3〜4日間発酵させます。ちなみに現在は24時間体制で、長いパイプにタンク1本分の量が入っているそうです。

05ヘビー・ミディアム・ライト、3つの原酒
蒸溜器からは、ヘビー、ミディアム、ライト(クリーン)の3タイプの原酒が造りだされます。さあ、いよいよ蒸溜器の出番です。
ヘビータイプの場合は2塔式。まずもろみ塔に入れて蒸溜し、ここでアルコール度数94%のニューポット(新酒)の出来上がり。穀物のような豊かな香り立ちで、鰹節を思わせるような原酒です。
ミディアムタイプの場合は3塔式に。もろみ塔で80%になったアルコールに加水をして、度数を20%まで下げます。それを抽出塔に入れて余計な香りを取り除き、精留塔でアルコール度数94%に。マイルドな穀物の香りで、バランスの良い原酒が完成します。
ライトタイプの場合は4塔式。もろみ塔、抽出塔、精製塔で蒸溜され、94%の蒸溜酒を精製塔へ。ここで必要なアルコール、味わいのみを取り出します。そうすることで、まさにライト&クリーンタイプの原酒が完成します。
蒸溜器の実物を見るため、屋外へ。とうもろこしの甘く香ばしい香りを、お腹いっぱいに吸い込みつつ移動です。

オブジェのような物の前で、野村さんの説明が始まりました。お話を聞いていると、精留塔を半分に切ったものを展示しているそうです。オブジェじゃなかった…。
4塔あるうち、精留塔だけ内部が銅製になっているそうです。蒸溜の際に発生する硫黄成分を除去する効果があり、アルコールがふれあうことで銅イオンが発生。この銅イオンには、不要な成分を取り除いてアルコールを整える効果もあるそうです。

06銀世界の蒸溜所を、いざ探検
次は、いよいよ連続式蒸溜器の実物を見せていただけます! 移動していると、今まで見学してきた蒸溜所とは全く違うことに、すぐ気づきます。山崎や白州だと、自然を感じる木々の木洩れ日。

黄金色に輝くポットスチル。

樽に詰められ、ゆっくりと眠りにつく原酒たち。

私たちにとっては、まるでテーマパークのようなところでした。しかし、この知多蒸溜所は違います!
なんと、辺り一面銀世界! あっ、雪景色という意味ではないですよ。いろんな太さのパイプやタンク、設備などが立ち並んでいるのですが、そのほとんどが銀色なんです(笑)

このパイプの中を、熟成前のウイスキーが流れているのかなぁ? 美味しいのかな…と、皆が真剣な顔で野村さんの説明を聞いている横で、私は真剣に妄想。それと同時に、早く知多のテイスティングさせてー!!と思う私。野村さん、不謹慎でごめんなさい。
言うまでもなく、私たちはテーマパークに行きたい訳ではありません! ヘルメットの顎ひもをキュッと締めなおしつつ、決して広くはないラインで囲まれた通路を突き進み、本物のグレーンウィスキーが産まれる、あの連続式蒸溜器のもとへゆくのです!!
皆の足取りが止まったその先に現れたのは、模型で見たもろみ塔!

これが連続式蒸溜器かぁ! 見上げるその大きさには圧巻です。こっちが抽出塔、これが精留塔で、あれが精製塔…痛い…痛い。首が痛い。本当に大きいので、見上げすぎて首が痛くなります。外観からは中がどうなっているか全く分かりませんが、先ほど聞いた説明を思い出しながら、妄想するばかりです。
07屋上へ——最後にハプニング
次は建物の屋上に移動します。その途中で、知多蒸溜所の航空写真を見ることができました。

海の近くにあり、港と蒸溜所の間に、JAのどでかいサイロが立ち並んでいます。港に着いたタンカーから、原料となるとうもろこしがJAのサイロに運ばれ、そのサイロから直接、蒸溜所のサイロへ移せる仕組みになっているそうです。名古屋ドームの2.5倍ほどある敷地に、創業当初は線路があり、運搬などに使っていたそうです。
そこから屋上へあがるエレベーターに乗り込むわけですが、ここでハプニングが! 9人乗りのエレベーターに、私を含め7人が乗り込んでいたのですが、呉店勤務のYちゃんが乗り込んだ瞬間——
ビー‐‐‐‐‐‐‐。一旦降りて、もう一度乗り込むYちゃん。ビー‐‐‐‐‐‐‐。警告音です。うつむいたままエレベーターを後にするYちゃん。
その姿を横目に、そっと閉めるボタンを押す私…。あなたが悪いんじゃないんだよYちゃん! きっとこの大男たち6人

が悪いんだよ! たぶん…。
屋上へ到着。さっき見上げた風景とは違い、目の高さにタンク。

見下ろせば、これまた様々なパイプが入り組んでいて、規模の大きさをあらためて実感しました。
——これで前編終了。後編へと続きます。
※価格・在庫は各商品ページでご確認ください。品切れの際はご容赦ください。
知多蒸溜所を訪ねてみて、「グレーンはダシのような存在」という野村さんの言葉が、いちばん心に残りました。ふだん何気なく飲んでいる一杯の奥に、こんな造り手の工夫があるんだなぁと。後編もどうぞお楽しみに。(文・住田屋スタッフ)
コメントを残す