『時が、味になる』鹿児島・田苑酒造を訪ねて。麦焼酎「甕熟 八年貯蔵」の造りを聞いてきました
こんにちは、住田屋 焼山店の弥生です。先日、焼酎が大好きな社員三人で、鹿児島の田苑酒造さんまで取材に行ってきました。当店だけでお取り扱いしている麦焼酎「甕熟(かめじゅく)八年貯蔵」が、どんなふうに生まれるのか——この目でたしかめたくて。
街に漂う、香りの謎
鹿児島に着いて車を降りたとたん、どこからか、ふわっと芋の香りが漂ってきた気がしました。どこかの蔵が仕込みの真っ最中だったのか、それともただの気のせいか……三人で「気のせいかな?」と顔を見合わせながら、結局その謎は解けないまま、田苑酒造さんへ向かいました。

瓶詰めの工程を、見学させてもらいました
まず案内していただいたのは、瓶詰めの工程でした。機械がきびきびと瓶を満たしていくのですが、おどろいたのは、そのすぐ横で、スタッフの方が一本ずつ、目と手で確認していたこと。ラベルの貼り具合や、中に濁り・異物がないか。最後はやっぱり人の目と手なんだなあと、三人そろって見入ってしまいました。
ちなみに田苑酒造さんは、日本で初めて麦焼酎の樽貯蔵を手がけた蔵としても知られています。


奇跡の発見から生まれた「音楽仕込み」
田苑酒造さんといえば、やっぱり「音楽仕込み」。発酵中のもろみに、クラシック音楽を聴かせる——という、ちょっと不思議な造りです。はじまりは、ずいぶん昔のこと。音楽好きの工場長さんが、自前のラジカセを仕込み蔵に持ち込んで、ベートーヴェンの『田園』などを流していたのだそうです。
そんなある日、ラジカセに近いタンクだけ、ほかより発酵が早く進んで、味までまろやかになっていた。どうやら音の振動がお酒に働きかけて、口当たりをやさしくしているらしい——。この偶然の発見が、すべての始まりでした。いまでは一九九〇年から、樽や甕に「トランスデューサー」という装置を取り付けて、お酒そのものに直接、振動を伝えているそうです。

呼吸する甕壺(かめつぼ)熟成のひみつ
「甕熟」の名前のとおり、このお酒は甕壺(かめつぼ)の中で、八年もの時間を過ごします。甕って、見た目はしっかり閉じているのに、じつは目に見えないくらい小さな穴がたくさん空いているんだそうです。そこから、ゆっくり呼吸をするように、空気が出たり入ったり。その繰り返しで、少しずつ角が取れて、まあるい、やわらかな味わいになっていくんですね。

ついに登場!麦焼酎「甕熟 八年貯蔵」
そうして八年、音楽を聴きながら甕で育った原酒が、こちらの「甕熟 八年貯蔵」です。造りは、本格麦焼酎。黒麹で仕込み、常圧蒸留で、甕壺でじっくり八年寝かせています。
飲んでみると、黒麹らしい骨太で力強い風味をちゃんと感じるのに、口当たりはおどろくほどやわらかくて、すうっと体にしみわたっていくんです。この「力強いのに、やさしい」の両立が、八年という時間のたまものなんだなあと、しみじみしてしまいました。

いちばんのおすすめの飲み方は?
工場長さんのおすすめは、ロック・水割り・お湯割り。素材の風味をまっすぐ楽しめる飲み方です。ちなみに、取材に行った私たち三人のあいだでいちばん盛り上がったのは、ソーダ割りでした。香りがふわっと開いて、これがまた格別だったんです。どの飲み方でもおいしい、オールマイティな一本だと思います。

時が、味になる。田苑酒造さんの、この言葉そのままのお酒でした。「甕熟 八年貯蔵」は、住田屋の各店舗と、オンラインストアでお取り扱いしています。数量限定ですので、気になった方はぜひ、お試しあれ!
(文・住田屋 焼山店 弥生)
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