SAKE|日本酒のこと
夏の日本酒は「冷やして」楽しむ。広島の地酒でかなえる、涼やかな一杯
冷蔵庫から出したばかりの一杯と、しばらく置いた一杯。同じ日本酒でも、温度で味はけっこう変わります。冷酒には「雪冷え」「花冷え」「涼冷え」という温度の呼び名があって、それを知っておくと、冷やした地酒がもっとおもしろくなります。

雪冷えはおよそ5℃、花冷えは10℃、涼冷えは15℃くらい。冷蔵庫から出したてがちょうど雪冷えで、テーブルに置いておくと、だんだん花冷え、涼冷えへと上がっていきます。つまり一本の瓶で、三つの温度を順番に味わえるということです。
ここでは、その温度の移り変わりに沿って、広島の地酒を3本ご紹介します。
雪冷え・約5℃出したての、キリッとした一杯
香りは控えめで、口あたりはシャープ。甘みや旨みがきゅっと締まって、キレが前に出てきます。暑い日の最初の一杯には、この冷たさがうれしいですよね。
ただ、香りを楽しみたい吟醸酒だと、この温度ではまだ香りが閉じています。最初の一口を味わったら、あとは少しずつ温度が上がるのを待ってみてください。
花冷え・約10℃香りと味がそろってくる
少し置くと、閉じていた香りが出てきて、味にもふくらみが出てきます。どの温度で飲むか迷ったら、このあたりがいちばん飲みやすいと思います。
三原の醉心山根本店の「稲穂」は、軟水と、60%まで磨いた米で醸した純米吟醸です。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2015」のメイン部門で金賞を受けていて、キレのあとにすっと入ってくる、昔ながらの広島の酒らしい味わい。ワイングラスに注ぐと、香りが変わっていくのが分かりやすいです。
醉心 純米吟醸 稲穂
商品ページを見る →竹原の中尾醸造の「幻」は、広島県産の酒米「八反錦」を100%使い、55%まで磨いた純米吟醸。穏やかな吟醸香に、りんごのような果実香がほのかにあります。やや辛口で後味がすっと切れるので、お刺身や天ぷらと合わせる食中酒にぴったりです。
幻(まぼろし)純米吟醸
商品ページを見る →涼冷え・約15℃旨みがいちばん分かる
さらに温度が上がると、香りがふわっと開いて、米の旨みや甘みがはっきりしてきます。グラスに注いでしばらく経ったころが、だいたいこのくらいです。
西条の賀茂泉酒造は、早くから純米酒に取り組んできたことで知られる蔵です。純米大吟醸の「延寿」は、上品な吟醸香とすっきりした後味。よく冷やして開けて、涼冷えくらいまで上がっていくあいだの香りの変化を、ゆっくり楽しんでほしい一本です。化粧箱入りなので、贈り物にもよく選ばれています。
賀茂泉 純米大吟醸 延寿
商品ページを見る →※価格・在庫は各商品ページでご確認ください。
広島の酒と、冷やすこと
広島の酒は、ミネラルの少ない軟水で仕込まれています。軟水だと発酵がゆっくり進むので、口あたりのやわらかい、角の少ない味に仕上がりやすい。そのやわらかさは、冷やしたときにもなめらかさとして残ります。広島で軟水の酒造りが根づいた話は、こちらの記事にくわしく書きました。
よくある質問
- 冷酒は何度くらいが目安ですか?
- 5〜15℃が目安です。よく冷えた「雪冷え(約5℃)」はシャープな飲み口、「花冷え(約10℃)」は香りと味のバランスがよく、「涼冷え(約15℃)」は香りが開いて旨みを感じやすくなります。冷やしすぎると香りは控えめになるので、迷ったら花冷えあたりがおすすめです。
- 開栓した後は、どのくらいで飲み切ればいいですか?
- 栓を開けたら冷蔵庫で保存し、香りの高い吟醸系は数日から2週間ほどを目安に、風味が変わる前に楽しむのがおすすめです。特に生原酒などは要冷蔵で早めにお召し上がりください。保存方法や賞味の目安は商品によって異なるため、各商品ページの表示もあわせてご確認ください。
- 夏でも燗(かん)はありですか?
- もちろんありです。冷房で体が冷えた日や、さっぱりした料理に温かさを添えたいときは、ぬる燗が体にやさしくなじみます。キレのある本醸造や普通酒は、温めても味がだれにくく楽しめます。
冷蔵庫から出したら、最初の一杯と最後の一杯で、味を比べてみてください。(文・廣中ようこ)
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