グラスに注いだクラフトビール

個性で選ぶ、はじめてのクラフトビール|スタイルの違いがわかれば一杯がもっと楽しくなる

CRAFT BEER|クラフトビールの基本

個性で選ぶ、はじめてのクラフトビール。スタイルの違いがわかれば一杯がもっと楽しくなる

一番搾りも、スーパードライも、黒ラベルも。日本でおなじみのビールの多くは、じつは「ピルスナー」という、ビールの中のひとつの種類の仲間です。

グラスに注がれるビール
写真:Pexels(フリー素材)

ピルスナーは、チェコのプルゼニという町で生まれた、淡い金色のすっきりしたビールです。キレがよくて、よく冷やしてゴクゴク飲める。日本の大手メーカーはこのピルスナーをもとに、それぞれの味を磨いてきました。お店の棚にたくさんの銘柄が並んでいても、その多くは同じ種類の中での違い、というわけです。

でも世界に目を向けると、ビールの種類(スタイル)は100を超えるとも言われます。果物のような香りのエール、修道院で造られるビール、ワインに近い度数のビール……。クラフトビールは、そんな「ピルスナーの外側」に出会える入口です。

種類が多くて迷ったら、銘柄より先にスタイルを見てみてください。ここでは性格のまったく違う3本を並べて、その違いをたどってみます。

地元・西条のエールから

最初の一本は、東広島市・西条のテシゴトブルワリーです。「広島西条檸檬エール」は、西条産の米と米麹に、広島県産のレモンとホップを合わせたペールエール(アルコール分5.0%)。

ペールエールは、ホップの香りとほどよい苦味が持ち味のスタイルで、クラフトビールの入口としてよく挙げられます。ここにレモンが加わるので、香りが明るく、口当たりも軽やか。ちなみに、ホップの香りと苦味をもっと強くしたのがIPAです。

セットには、広島県産米「恋の予感」を使ったすっきりした「恋米エール」と、地元の酒粕を仕込みに使った少し飲みごたえのある「酒粕エール」(6.0%)も入っています。同じ造り手でも3本とも方向が違うので、飲み比べの練習にちょうどいいセットです。

テシゴトブルワリー 広島西条檸檬エール・恋米エール・酒粕エール

テシゴトブルワリー 檸檬エール・恋米エール・酒粕エール セット

広島・東広島市西条/ペールエールほか/330ml 3本・6本

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修道院のビールは、最後の一口がいちばんおもしろい

次は、がらっと変えてベルギーのオルヴァルです。「トラピストビール」は、トラピスト会の修道院の中で、修道士の管理のもとに造られたビールだけが名乗れる呼び名です。オルヴァル修道院のビールとして一般に出回っているのは、このオルヴァル1種類だけです。

ラベルに描かれた、指輪をくわえた鱒(マス)には言い伝えがあります。この地を訪れた伯爵夫人マチルドが泉に結婚指輪を落とし、祈ったところ一匹の鱒が指輪をくわえて浮かんできた、というもの。「オルヴァル(黄金の谷)」という名前もここから来ています。

味は、発酵の途中やあとにホップを加える「ドライホッピング」による華やかな香りと、ドライな飲み口。りんごや柑橘を思わせる香りと、しっかりめの苦味があります。8〜12℃くらいから飲みはじめて、グラスの中で香りが変わっていくのを追いかけるのが楽しい一本です。瓶のまま数年寝かせて、熟成の変化を楽しむ愛好家もいます。

オルヴァル 330ml ベルギー・トラピストビール

オルヴァル 330ml

ベルギー・オルヴァル修道院/トラピストビール/6.2%

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いろいろなクラフトビールの飲み比べ
色が違えば、香りも苦味も違います(写真:Pexels/フリー素材)

「ラガー=すっきり」を裏切る、14度のラガー

3本目は、オーストリアのサミクラウス クラシック。アルコール分は14%で、一般的なビールのおよそ3倍です。

名前はスイスの言葉で「サンタクロース」のこと。毎年12月6日、聖ニコラウスの日にだけ仕込まれ、約10ヶ月寝かせてから出荷されます。スタイルはドッペルボックという、麦芽をたっぷり使った濃いラガーです。

じつはこれも、冒頭のピルスナーと同じ「ラガー」の仲間です。それなのに、色は深い赤銅色で、麦芽の甘みやカラメル、干しぶどうのような香りがするタイプ。ワイングラスに少しずつ注いで、チョコレートやナッツ、ブルーチーズと合わせるくらいがちょうどいいビールです。

サミクラウス クラシック 330ml

サミクラウス クラシック 330ml

オーストリア・シュロス・エッゲンベルグ/ドッペルボック/14%

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※価格・在庫は各商品ページでご確認ください。

温度とグラスのこと

クラフトビールは、キンキンに冷やしすぎないほうが香りが分かりやすいものが多いです。オルヴァルもサミクラウスも、目安は8〜12℃。冷蔵庫から出して少し置いてから開けるくらいでちょうどいいです。ピルスナーのようなすっきり系なら、4〜8℃までしっかり冷やしたほうがおいしく感じます。

それから、できれば缶や瓶から直接ではなく、グラスに注いでください。泡が立って香りがふわっと上がってくるので、同じ一本でも印象がかなり変わります。

よくある質問

クラフトビールは冷やしすぎない方がいいの?
スタイルによります。ホップの香りを楽しむペールエールやIPAは、キンキンに冷やすより8〜12℃くらいがおすすめで、少し温度が戻ると香りが開きます。一方、すっきり系のラガーはしっかり冷やすと爽快に楽しめます。
一度開けたら、その日のうちに飲みきるべき?
炭酸が抜けていくため、基本は開栓したその日のうちに飲みきるのがおすすめです。おいしさは開けたてが一番なので、飲みきれる量が心配なときは小さめの瓶や缶を選ぶと無駄がありません。
クラフトビールに合うおつまみは?
「味の濃さを合わせる」と失敗しにくいです。苦味のあるIPAには揚げ物やスパイスの効いた料理、コクのあるベルギービールにはチーズや燻製、ナッツなどがよく合います。

3本とも性格がまったく違うので、別々の日に1本ずつ開けてみるのもおすすめです。(文・廣中ようこ)


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