ライムとローズマリーを添えた爽やかなグラス(イメージ写真)

クラフトジンの「ボタニカル」って、なに? 香りを決める植物と、広島・瀬戸内が描く“土地の味”

SPIRITS|クラフトジンの基本

クラフトジンの「ボタニカル」って、なに? 香りを決める植物と、広島・瀬戸内が描く“土地の味”

ジンのボトルによく書いてある「ボタニカル」。ワインのぶどう、日本酒のお米にあたる、香りの主役の植物のことなんです。その中身を知ると、ジン選びがぐっと楽しくなります。

透明なジンのソーダ割りと、ジュニパーベリーやコリアンダー、レモンの皮(AI生成イメージ)
植物の香りをたどると、ジンの一杯がもっと面白くなります。(AI生成イメージ)

先日、ジンの棚の前で「このボトル、“ボタニカル”って書いてあるけど、これって何のこと?」とお客さまに聞かれました。言われてみれば、ワインのぶどうや日本酒のお米とちがって、ジンの原料ってちょっと見えにくいですよね。無色透明なのに、グラスに注ぐとふわっと柑橘やハーブが香る——あの正体が、まさに「ボタニカル」なんです。

住田屋には広島・瀬戸内で生まれたクラフトジンも揃っていて、スタッフで試してはあれこれ話しています。今日はその「ボタニカル」の話を、店頭でお伝えするような気持ちで書いてみますね。

この記事のポイント

  • ジンの香りの主役は「ボタニカル」=香りづけに使う植物(果実・ハーブ・花・スパイス・根や皮)
  • 中でもジュニパーベリーは欠かせない存在。これが香ることが「ジンであること」の決め手です
  • どの植物をどう組み合わせるかで個性が決まる。広島・瀬戸内のジンは、地元の柑橘で“土地の香り”を描きます

01そもそも「ボタニカル」ってなに?

ボタニカル(botanical)とは、ジンの香りづけに使う植物のことです。果実やその皮、ハーブ、花、スパイス、木の根っこまで、使われるものは実にさまざま。ジンは、穀物などから造った無色の蒸留酒(ベーススピリッツ)に、こうしたボタニカルを加えてもう一度蒸留し、植物の香りを移してつくります。

だからジンは、見た目は水のように透明でも、ひと口ふくむと驚くほど香り豊か。その香りの設計図こそがボタニカルの組み合わせで、蒸留所ごとの「レシピ」になっているわけです。同じジンという名前でも、一本ずつ表情がちがうのはこのためなんですね。

02ジンの背骨「ジュニパーベリー」のはなし

数あるボタニカルの中で、たったひとつだけ外せないものがあります。それがジュニパーベリー(juniper berry=西洋ねずの実)。松やヒノキを思わせる、すっと鼻に抜ける清涼な針葉樹の香りが特徴で、「ジン(gin)」という名前そのものが、このジュニパーに由来しています。

ヨーロッパの定義では、ジンと名乗るにはジュニパーの香りが主役であることが条件とされています。言いかえると、どんなに個性的なボタニカルを加えても、あの清涼感が土台にあるからこそ「ジンらしさ」が生まれる、ということ。ジン選びに迷ったら、まずこの針葉樹の香りを探してみると、味わいの軸がつかみやすくなります。

03よく使われるボタニカルと、香りの役割

ジュニパーを主役に、脇を固めるボタニカルたち。代表的なものと、それぞれが担う役割をまとめてみました。組み合わせの妙を知ると、ラベルの裏の説明書きを読むのが楽しくなります。

ボタニカル 色 香りの印象 担う役割
ジュニパーベリー 針葉樹・清涼感 ジンの背骨。必須の主役
コリアンダーシード ほのかな柑橘とスパイス ジュニパーに次ぐ定番。全体に丸みを
柑橘の皮(レモン・橙など) さわやかで華やか 明るさと軽やかな飲み口
アンジェリカルート(根) 土っぽく、ほろ苦い 香りをまとめる縁の下の力持ち
カルダモン等のスパイス エキゾチックな刺激 個性と長い余韻
ジュニパー(必須の主役)柑橘系皮の華やかさハーブ・花香りの彩りスパイス刺激と余韻根・皮香りの土台
広島・瀬戸内のクラフトジンは、ここに地元のボタニカルが加わります。瀬戸内育ちのレモンや和柑橘、お茶、山椒といった素材を使うことで、同じジンでも“広島の香り”が立ちのぼる。土地の植物をそのまま香りにできるのが、ジンという器のおもしろさなんです。
覚えておきたいことジンは、土地の植物を映す鏡のようなお酒。ボタニカルを知ると、一本ごとの物語が見えてきます。

04広島・瀬戸内が香る、クラフトジン3本

ボタニカルの個性がわかりやすく、しかも飲んで気持ちのいい3本を選びました。地元・広島のものを中心に、ジンという名前の由来を体現するような一本も添えています。(味わいの印象は住田屋スタッフの目安です)

桜尾ジン オリジナル
広島・廿日市/地元の定番

桜尾 ジン オリジナル(SAKURAO GIN ORIGINAL)

広島県廿日市市のサクラオブルワリーアンドディスティラリーが、地元の素材を生かして造る純国産クラフトジン。瀬戸内らしい柑橘のさわやかさがすっと広がる、最初の一本におすすめの定番です。

香り:柑橘のさわやかさと、やわらかな和の清涼感/味わい:すっきり滑らか/余韻:穏やかで食事にもなじむ

相性フード:冷奴、白身魚のお刺身、天ぷら。ソーダ割りで食中酒にも。

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クラフトジン瀬戸内 檸檬
広島・呉/柑橘が主役

クラフトジン瀬戸内 檸檬(SETOUCHI GIN)

広島県呉市の老舗酒蔵・三宅本店が、瀬戸内産レモンの果皮をまるごと漬け込んで仕上げた一本。皮ごとの立体的なレモンの香りがまっすぐで、「ボタニカルが香る」とはこういうことか、と実感できます。

香り:皮ごとのレモンの爽快感/味わい:さわやかで、ほろ苦い余韻/余韻:すっきりキレる

相性フード:ソーダ割りで揚げ物や牡蠣フライ、瀬戸内の魚介に。レモンサワー感覚でも。

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ザ・ボタニスト
スコットランド・アイラ島/名は“植物学者”

ザ・ボタニスト(The Botanist)

スコッチの聖地アイラ島で、島に自生する植物を手摘みで数多く使うことで知られるプレミアムジン。その名のとおり“植物学者”のようなジンで、ボタニカルの奥深さを味わいたい方にぴったりです。少しマニアックな一本を、という方にも。

香り:ハーブや花の複雑な重なり/味わい:まろやかで層がある/余韻:ほのかに島の風を思わせる

相性フード:ハーブを使った料理、スモークサーモン、ナッツ。トニックでじっくりと。

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※価格・在庫は各商品ページでご確認ください。

05よくある質問

ジンはどう飲むのがおすすめですか?
まずはジントニックが王道です。炭酸とライムやレモンを合わせると、ボタニカルの香りがふわっと開きます。香りをじっくり楽しみたい日は、少量のソーダ割りやロックもおすすめです。
ウォッカとジンは何が違うのですか?
ベースとなる蒸留酒の造り方は似ていますが、ジンはジュニパーをはじめとするボタニカルで香りづけするのが決定的な違いです。ウォッカはできるだけクセのない味を目指すお酒なので、香りの方向性が正反対なんです。
ジンはアルコール度数が高いと聞きますが、強いお酒ですか?
多くのジンは40〜47度ほどと高めです。基本は割って飲むお酒なので、ご安心を。度数が高いぶん、ソーダ割りは炭酸をしっかりめにすると香りがきれいに引き立ちます。

ボタニカルという言葉を知るだけで、ジンの棚がぐっと親しみやすくなります。住田屋には広島・瀬戸内のクラフトジンから世界の名品まで並んでいますので、「こんな香りが好き」というお話をいただければ、8店舗のスタッフが一緒にお気に入りの一本を探します。気になることがあれば、どうぞお気軽に。(文・廣中ようこ)


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